処置依頼(苦情)における心得 |
2002/01/18 β1.0版 2002/01/20 β1.1版 2002/07/04 改訂初版 2002/07/04 1.1版 |
基本的にはサーバ管理者も被害者です! 前の頁(「ヘッダ解析とは」)の二つの苦情先のうち、1番に関してはインターネットの原則としてスパマーをネットワーク管理者が対処すべきことが定められています。
よって、まず適切な処置依頼先とは「送信サーバ管理者」あるいは「中継サーバ管理者」のことを指しています。
2002年1月現在、ネット上の迷惑行為・犯罪行為を取り締まる専門的組織がありません。その為、スパム送信者の処罰は送信サーバ管理者(主にISP、インターネットサービスプロバイダなど)の責任とされています。また、安易に中継可能なサーバを開放することはスパム送信の踏み台になるため大きな問題とされ、管理者が気がつかないうちに中継サーバとして利用されることも少なくありません(第三者中継問題)。
ここで注意して頂きたいのは、私が「処置依頼」という言葉をしばしば使っているように、
ほとんどの場合でサーバ管理者がスパム送信者自身ではない
ことです。一般にスパム送信者はユーザレベルなのに対して、サーバ管理者とはプロバイダーの管理者達です。
多くのプロバイダーでは契約約款によりスパム送信を禁じています。けれども検閲禁止等の問題もあり、常時全てのメール発信を監視することは事実上不可能な為、管理者が気がつかないうちにサーバがスパム送信に利用されてしまいます。契約約款に反する使い方をされることはサーバ管理者にとっても不本意でありますから、サーバ管理者も被害者と言えます。
しかしスパム送信者の再度のスパム発信を止めることが出来るのは、その送信サーバの管理者だけです。その為、スパム被害者の私達は、送信サーバ管理人に処置依頼を送ることになります。
以上のことをふまえると処置依頼の中では、
サーバ管理人がスパム送信者のような失礼な書き方をしてはいけない
と考えます。あくまでサーバがスパム送信に利用され、自分が被害を受けたことの情報を提供するのです。つまり苦情というよりも依頼のメールを送るのです。
無論、繰り返し同じ所から、同じようなスパムが送られてくる場合、そのネット業者の対応が不備なことを表していますので、次第に「苦情」の面が強くなります。
ただしいろいろな例外があります。一番最悪なのは、スパム送信者がサーバ管理者である場合です。最近では個人でもサーバを持つことが出来るようになっていますので、こういう場合もあります。
また個人ではないけれども、サーバを持つ会社が組織ぐるみでスパム行為を行う場合も可能性としてあり得ることです。これらの場合「スパマーが自前サーバを持っている」という言い方をします。
そのような場合、対処がどうしようもない場合もありますが、しかし多くの場合は自前サーバを持っているスパマーでも、その上流サービス会社があるのが一般的です。たとえば日本(ne.jp)のドメイン名のデータベースを持っているJPNICの検索では、以下のような表示になることがあります。
ここで、ぼかしを入れたのがスパム送信者自身のサーバ、その上のOCN様が上流のネット業者を表しています(OCN様はNTT系列の大手ネットサービス業者です。上の例はあくまで参考です)。なお、下流が必ずしもスパマーとは限らず、むしろ我々レベルのユーザにサービスを提供している中小ネット会社であるのが一般的です。
サーバ管理者がスパム送信者自身でなくても、ネット業者の中にはスパム送信者に甘いところが存在します。そういう所のスパムは何度苦情を言っても繰り返されます。たとえスパム送信者に甘くなくとも、システム的に問題があり、スパムが止まらない場合もあります。
こういう場合には自分の被害に応じて、依頼の口調を強くしていくのもやむを得ないでしょう。けれどもいくら言っても対処しないということで諦めることはお勧めしません。
大切なのは、スパム一通ごとに、その送信者サーバから「自分が」被害を受けていることを訴えることです。多くの人がこれをすることにより、プロバイダーは一人の顧客を許していることで、多くの人間に被害を与えることを痛感し、根本的なスパム送信者対処をせねばならないことに気がつかざるを得ないのです。
上の例で出したOCN様は2001年前半に契約約款を改訂し、以前に比べてスパム送信者に対して断固とした措置を取ることが可能になりました。
サーバ管理者へ渡すのは「情報」と「困惑の気持ち」! 処置依頼一通一通に気持ちをこめる! |
処置依頼を出す意義はまず情報提供があるのは言うまでもありません。もしかするとそのスパムに関してあなたは一番目の苦情者かもしれず、素早いネット会社・担当者なら手を打って被害の拡大を防いでくれるかもしれません。
では少し遅ければ苦情を言う価値はないのでしょうか。そんなことはありません。サーバ管理者の方達には、私達がその顧客のメールを嫌がっていることをきちんと伝えねばならないからです。
ではその見返りは?そこで
- 私達は管理者の「良い苦情返答」を期待してはいけません。
なぜなら、処置依頼を出すのは「スパム送信者への処置」が一番して欲しいことだからです。苦情の返事だけ「断固たる対処を行いました」という返事を貰っても、実際にスパム送信者への処置をきちんとしていなければなんら意味はありません。また、返事が定型文であることに怒るのもとんでもないことです(返事の中に何か問題のある記述があるなら別ですが....)。
私達への苦情対応に悩む時間を割くよりも、スパム送信者を処罰し、彼らを抑制する方法に頭を悩まして貰わねばならないのです。
あなたがスパムを一通受け取った時、その送信関係サーバ管理者達にはあなたから一通だけ苦情が届くこと、そして管理者側としては一種類のスパムに対して積もり積もって多くの人から苦情がたくさん届くこと、これが大事だと考えます。けれども、あなたが処置依頼を一通送る行為は
- 皆でサーバ管理者達を困らせることが目的ではありません。
あくまで
- あなたがスパムで困っている気持ちを処置依頼の一通の中にこめる
のです。
受け手のことを考えないで、サーバ管理者達に安易に苦情を出すことは、あなたが憎んでいるスパム送信者と同じレベルに成り下がってしまうでしょう。あなたは処置依頼メールを送る送信先で、苦情対応とスパム送信者の措置に頭を悩ませる担当者達のことを想像しなくてはいけないのです。それでこそ、スパム被害を訴える資格があると思います。