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緊急提言
行政はspam撲滅に向けた効果のある制度整備の確立を早急に行うべし!

2002/04/13 初版
2002/04/24 1.2版

 2002年4月11日と12日

http://www2g.biglobe.ne.jp/~stakasa/spam/falv.html

で紹介しているように迷惑メールに関する二つの法案が成立した(片方は従来の改正だが)。

 まず言っておこう。これは大きな前進である。取りあえず、これに係わった多くの方々の努力を感謝させて頂きたい。

 私が迷惑メールについて語り始めた一年前、こんなにも早く「spam(一方的広告メール)に関する法律」が出来るとは流石に予想が出来なかった。諸外国の法律化への苦労を知っている分、日本でも法律化へは相当の困難を覚悟していた。ところが今回の日本の国政レベルにおけるspam規制は、散々スパムに悩み、法案提出と廃案を繰り返している米国をある部分では追い抜かしてしまったのだ。

 私も諸外国の事例に通じているわけではないので正確な分析は出来ないが、上の法整備に日本の昨年の携帯電話の迷惑メール被害が極めて大きな後押しをしたことは確かである。携帯スパムはスパム問題の一部に過ぎないのであるが、しかしそれを取り締まるには世界規模で問題になっている電子メールのスパム問題として考慮する必要性があり、法律整備においてもその点はかなり意識されていたようだ。

 だがその一方で、実際の法律の運用となると日本の行政にどれだけの「迷惑メール」への取り締まりに関するスキルと知識の蓄積があるかは大いに疑問である。

 スパム問題に関して被害が急速に拡大し、問題意識の強かった米国では消費者がスパム苦情を行うための窓口が連邦取引委員会(FTC)によって1998年から設けられており、そこへのスパム届け出は現在、日に一万通にも達するという。これはスパムの分析に用いられているほか、悪質なものは積極的に取り締まるのに大いに活用されているようだ。

参考サイト:

「FTC、同時多発テロ便乗メール商法取締りを強化」(2002/03/08 japan.internet.com
http://japan.internet.com/wmnews/20020308/11.html

「スパム対策に奮闘するFTC」(2001/05 CNET)
http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010525-7.html?rn

FTCへのスパム転送,法的規制かかれば「月5億件」(2001/05/25 ZDNet)
http://www.zdnet.co.jp/news/0105/25/b_0524_13.html

「FTC,スパム規制の新プログラム発表へ」(2002/02/12 ZDNet)
http://www.zdnet.co.jp/news/0202/12/b_0211_15.html

 すなわち米国ではスパムに対する連邦法がいつできてもおかしくないような形で、政府のスパムに対する取り組み、ノウハウの蓄積が進められてきた。

 ところが日本ではどうか?この問題をまともに取り上げ始めたのが昨年の夏であり、ようやくネットユーザの苦情窓口が設けられたのが今年の2月からである。

 日本ではスパム以上のネット犯罪が横行しているが、それに関しては数年前に「不正アクセス防止法」が施行され、それに伴う逮捕者は続々と出ているものの、実質的には冰山の一角を捕まえているに過ぎず、現在ネット犯罪の警察の部署は事例を集めながら悪質なものだけを捕まえている状況である。

 これと同様なことがスパム被害でも継続する可能性が大きい。すなわち法律は出来ても、巧みにネット上でスパムばらまきを継続する業者をとらえることはかなり困難であり、やがて「法律あっても效果なし」の実態に陷ることも最悪考えられるのだ。

 「法律が出来たのならばそれがきちんと履行されるか、スパムの抑制にならなければ意味がない

 一体どのような手続でスパムに関する情報が収集され、どこが解析し、そして法律を用いることを決定するのか?それらの制度整備がきちんとたてられなければ意味がない。スパムに関する情報は犯人の追及に支障がない範囲で出来るだけ明らかにされるべきである。そうでなければスパム発生の抑止力にすらならないからだ。

 携帯電話の場合をみても分かるように、スパムの発生にはスケールメリットが働く。すなわちメールユーザが多くなればなるほど、ばらまけば釣れる輩が出てくる可能性が大きくなり、その結果、スパム業者は迷惑な人のことを無視しながら大量のメールを送り出すようになるのだ。

 たとえば10人しかメールアドレスを持っていないときに、10人にばらまいて1人しか釣れないのなら、スパム送信者は敢えてやらないかもしれない。しかし全体が100人になったとき、1000人になったとき、同じ割合ならばそれぞれ10人、100人が釣れることになる。そうなるとなんやかやで商売になる可能性があるのだ。しかもスパマーにとって10人送るのも1000人送るのも労力としては大差ない。これがスパム行為における恐るべきスケールメリットである。

 言うまでもなく、送られたスパムに無関係・無関心・不快な被害者は9人から90人、900人と拡大し、しかも参入するスパム送信者が出てくるので被害の大きさはひどくなることが予想される。私は英文のスパムを受け取っていてそのような可能性が十分にありうると考えている。

 そして日本ではまだまだメール人口は増えていくし、また個人が持っているメールアドレスも仕事場用として、家庭用として、あるいは他のコミュニケーション用としてなど、様々な用途のものを複数持つようになるはずだ。そうなるほど、スパム送信者はがむしゃらになってスパム行為を送るようになるだろう。

 もう一度いう。大切などは今後の被害拡大に対してきちんと抑止力になる、実効性のある取り締まり、制度作りだ。法律の文面だけを考えるならある意味簡単だ。「やっちゃいけない」と言うことは簡単なのだから。

スパムが抑制できるかはこれからの制度整備にかかっている。


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